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ちまちまアイドルソング22「ASIAN STONE」

Dorothy Little Happy「ASIAN STONE」


Dorothy Little Happy / ASIAN STONE - YouTube

仙台在住の5人組ガールズユニットDorothy Little Happy(以下ドロシー)の6枚目のシングルです。

前作『colorful life』がアコースティックな曲調だったので、個人的に新曲はエレクトロな曲が聞きたいと思っていたんですが、ある意味でドンピシャ、でも期待を想像をはるかな超えた曲になっていました。

 

新しい世界の大きな扉を この手で開いて行くよ 

 

サビで繰り返しされるこのフレーズに代表されるように、新しいことに挑戦する期待や不安を描いた楽曲です。

BPM120前後の四つ打ちは興奮したときの心臓の鼓動に近いと本来は言われていて、気持ち良く、ノリが良くなりそうなはずです。しかしながら、長いソロパートと複雑なメロディー、メッセージ性の強い歌詞が独特の印象を与えます。

 

 

僕が『ASIAN STONE』を初めて聞いたのは8月17日の定期ライブでした。正直に言って、そのときの印象はあまり良いものではありませんでした。

 

前作『colorful life』も高二組3人をメインに置いた初めての楽曲で、ドロシーにとって大きな挑戦でありました。一方で、曲調は王道ポップソングのツボをおさえていて、大きな挑戦をバックアップするような要素が安心感を与えてくれました。

『ASIAN STONE』は前作以上に大きな挑戦となる曲です。曲の始まりをメインボーカルの高麻里が歌い、続いて早坂香美、白戸佳奈と8小節ずつソロで歌い紡いでいきます。2番では、富永美杜と秋元瑠海が同じように歌います。『ASIAN STONE』はとてもソロパートが多く難易度が高いことが特徴となっています。例えば、小節に対して1拍〜1拍前倒しでメロディーがはじまる構造になっていて頭が合わせにくかったりします。

 

麻理ちゃんのボーカル力はアイドル界でも随一です。曲の世界に合わせて歌に載せる感情をコントロールして、発声や発音に細やかな変化を付けることができるエモーションとテクニックを持ったボーカリストだと思います。

ドロシーの『ASIAN STONE』での挑戦は、そんな麻理ちゃんだからこそできる歌唱表現を5人全員できるようにする、ということだと思いました。確かに過去の雑誌のインタビューで「麻理ちゃんだけにボーカルを頼るのではなく全員が歌えるようになりたい」「5人の声が好き」などと書かれていた記憶があります。

僕が見た定期ライブでの『ASIAN STONE』の初披露でも歌に意識が向いていることは伝わりましたが、完成にはほど遠い状態で「ドロシー大丈夫か」と心配になったくらいでした。楽曲の良さやメッセージ性の強さから受け取るもの以上に、ドロシーのしようとしている挑戦のハードルの高さに驚いてしまったのです。

例えば、前作が自分たちで設定した目標を厳しい状況の中でクリアできたんですから、次くらいは鉄板で最大公約数的に受け入れてもらえる早いBPMのキャッチーな曲を用意して、いわゆる"置きにいって"しまっても良かったと思うのです。ファンの幅を広げる意味ではそれが正解でしょうし。

でも、ドロシーは正反対の選択をしました。『colorful life』での成長を賭けに出してもっと大きな何かを望みました。初めて『ASIAN STONE』を見た不安感の正体がこれで、楽で安全な道よりも厳しくて新しい世界が期待できる道を選ぶのがドロシーらしいと思いました。

 

新しい世界の大きな扉を この手で開いて行くよ 

 

再び引用しましたが、まさにこの歌詞の通りに新しい世界への道をドロシーは常に探しています。もし、ドロシーが『ASIAN STONE』での挑戦を成し遂げ賭けに勝ったときが来るとすれば、それは本当に"新しい世界"に違いありません。

『ASIAN STONE』を5人で歌いこなすことができるようになったドロシーは、過去の楽曲すべてをひとつふたつ上の表現力でパフォーマンスしてくれるはずですから。『デモサヨナラ』も『Life goes one』も『風よはやく』も他の楽曲も今よりもアップグレードして見せてくれることでしょう。

そう考えると、『ASIAN STONE』ほどテーマにマッチした歌詞、歌割り、サウンド、そしてグループの状態にある楽曲があるでしょうか?

楽曲への挑戦が、そのままこれからのグループの成長に繋がっているのですから。

 

 

さて、僕は8月の定期ライブ以来ドロシーを見ることができていません。

『ASIAN STONE』もあのときのイメージを引きずりながらも、ドロシーならきっと大きなことをやってくれるはずと信じています。実際、ユーストやミュージックドラゴンの『ASIAN STONE』では都度の成長を感じさせてくれます。

長い文章を書きながらドロシーの成長と『ASIAN STONE』の仕上がりを期待して、早くドロシーに会いたいと思うばかりです。