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細々とこっそりとちまちまと

アイドルソングの感想・レビュー、ライブレポ。

【KILLING ME SOFTLYすごかった記念】5つ数えれば君の夢のこと(5・24シアターキノ)

 

今週は毎日東京女子流の話をしています。

 

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【あらすじ】

5人組ダンス&ボーカルグループ「東京女子流」の映画初主演作となる青春劇。文化祭を間近に控えた女子校を舞台に、少女たちのきらめきと葛藤を、5人が演じる少女それぞれにスポットを当て、叙情的に描き出した。監督・脚本は、学生時代に手がけた「あの娘が海辺で踊ってる」が第24回東京学生映画祭で審査員特別賞を受賞し、劇場公開もされて高い評価を受けた新鋭・山戸結希。(映画.comより

 

 

5月24日。狸小路の映画館シアターキノで見てきました。札幌での公開初日で、山戸監督の舞台挨拶付き! 同じ日に別の映画館で学校の怪談 ~呪いの言霊~』と一日で両方見ることができて、映画好き&東京女子流好きにとってなんて幸せな日だったのでしょう。

気合を入れて早い整理番号をゲットして最前中央を確保。シアターキノのスクリーンは最前でも見やすいですし特に舞台挨拶のときはオススメですよ!笑(野のなななのかのときは最前ゼロズレで常磐貴子さんを拝見できて至福でした)

 

山戸監督の映画を見るのは初めてでした。過去作が映像化されておらず(間違ってたらすみません)、単館映画館の特集上映などを狙って行かなければ見ることが難しいので。一方で、同じシアターキノで山戸監督をお呼びして上映を組んだことがあるらしく、札幌では"山戸映画ファン"ができあがっており、東京女子流ファン、映画ファンなど多彩な客層が客席にいると感じました。

これは舞台挨拶付きで映画を見る醍醐味です。お客さんが多くいる中で見る方が単純に楽しいと思いますし、本来は別々のものを好んでいた人たちがこうやって集まる機会は案外ありません。 

だからこんなことが起きたりするのです。

 

初めて見た山戸監督の映画はすごく"大林宣彦映画"みたいだと感じました。 それは演出の仕方や映画の外見で感じたことではないので伝わらないかもしれませんが、大きく3つのことが要因だと思います。女の子を描いていること登場人物の内面と外面の境界があいまいなことそしてアーティスティックな映画であることです。

 

例えば、同じ日に見た学校の怪談 ~呪いの言霊~』東京女子流の主演映画であり5人のが主人公として登場しますが、女の子を描いた映画ではありません。「女の子を描く」とは登場頻度のことではないです。女性アイドルを登場させればいいとかそういう話ではないのです。美しく、可愛く、怖さもある女の子の魅力を伝えることに映画が奉仕しているかどうかが重要なのです。具体的には、撮影方法や演出、物語もそのための装置に徹しているような映画のことです。『5つ数えれば君の夢』を見て「美しい」と感じたり「怖い」と思うのは、そもそも女の子という存在がそういうものだからです。それを感じさせてくれることは、言葉では語り尽くせない女の子の魅力と真摯に向き合って作られた映画である証明だと考えます。

 

僕自身は「男子校出身、元園芸部、山邉未夢さん好き」という属性です。だから『5つ数えれば君の夢』から受け取ったことかもしれませんが、これを女子校の映画とかスクールカーストの映画だとはほとんど感じませんでした。知りませんけど、共学でもこういう女子の感じはあると思いますし、作中の登場人物は東京女子流の5人に限らず、どこかにいそうでどこにもいなさそうな子ばかりでした。

哲学的なセリフが多い映画です。一般的な女子高生が使わないようなワードが矢継ぎ早に登場します。逆に一般的に使われている言葉もあえて違和感を感じるように装飾されていたように思います。また、登場人物について"内気なさく"、"女子高カーストの頂点宇佐美"など分かりやすいキャラクターが設定されているようで、実はそれを許してくれない映画になっています。さくは内気なだけの女の子ではありませんし、宇佐美は頂点であるとこと以上に弱さや不安を抱えている普通の女の子です。舞台挨拶の中で山戸監督は「ラベリング」という言葉を使っていましたが、映画の中では安易に登場人物を色づけすることをしていません。「この子はこういう子」というものは僕たち私たちが自分の経験や判断で「ラベリング」するものとして観客に判断をゆだねているのです。そもそもパンフレットやホームページに類型的な登場人物紹介が一切ないのは普通ではありませんし、作品として安易な「ラベリング」を避けている現れのひとつだと考えます。

特徴的なセリフと多面性を重視したキャラクター作りは、登場人物の内面と外面をあいまいにします。現実的ではない言葉が人物の実在感に揺らぎを与えて、一方では、記号的でなく生きている人間に近い姿を描くことが映画の中の特別な話ではない普遍性をもたらします。

その結果、映画の中の出来事と現実の境界が近付きます。いつの間にか僕たち私たちは『5つ数えれば君の夢』を見ながら自分自身と向き合わされます。そうして"5人の女の子の姿"が"僕たち私たちの夢"となるのです

つまり、映画というフィクションの中にリアリティを感じさせる構造を持っている映画なのです。

 

印象的な笑顔で物語が終わり、映画が暗転した瞬間、 何だかわからない涙があふれてきました。後列の若い女性が声を出して泣いているのが気になって振り返って見てしまいましたが、そのとき僕も鼻水が出る勢いで号泣していたのでご容赦ください。笑

ここまで書いてきたように、受け取る人によっては個人的な体験や思いに直接的に働きかける映画です。物語や登場人物にそれだけの奥行きがあり、観賞後の僕のような激烈な反応を生むのです。そこには二面性があって、好きになる人と同じ影響度で、駄目だと思う人や嫌いな人も出てくる種類の作品だと思います。『5つ数えれば君の夢』が見る人を選ぶ作品であることは避けられません。

それだけこの映画が突出した何かであるということです。『5つ数えれば君の夢』と同じような感情を抱かせる作品は世界にひとつもないと思いますし、山戸監督の映画ひとつひとつが代替が不可能なものなのでしょう。そういう作品・芸術のことをアートと呼ぶのは決して過大な表現ではありません。

大林宣彦監督は自身を"映画作家"と自称しています。特に近年の作品は、突き抜けていてアウトサイダー・アートの領域に突入しているという評論もあります。

僕は『5つ数えれば君の夢』から同様の(方法論はまったく違いますが)アーティスト性を感じましたし、山戸監督もまた若き"映画作家"なのだと思いました。

 

映画が終わり、劇場の暗転が解けて、山戸監督の舞台挨拶がはじまります。初めてお顔を拝見した山戸監督は、すごく丁寧で控えめな印象の方でした。でも、発せられるワードのチョイスに独自性があって、『5つ数えれば君の夢』を生み出し世界をそのように見ている人なのだとすぐに感じました。

質問の機会を頂いたので「庄司芽生ちゃん(役名・宇佐美)の相手役の高木君がすごく嫌な奴で、いなくならないかなあと思って見ていたら本当に驚いた」ことを伝えて「物語の裏側で誰かに殺されたとかそういうことですか?」と大変ボンクラな質問をしました。笑

その際にも、高木君にまつわるネットのウワサや考察についてと、役を演じていた渡辺佑太郎さんが演技初挑戦ですごく頑張っていて好感が持てる人物であることを教えてもらいました。山戸監督、なんて素敵な人なのでしょう!

舞台挨拶後にはサイン会でお話する時間もいただき、それはもう贅沢すぎる時間でした!

 

この記事の冒頭で「山戸監督の映画はすごく"大林宣彦映画"みたいに感じた」と書きました。それは少し違うのかな、とこの機会にいろいろ考えて思っています。

『5つ数えれば君の夢』が僕の大好きな種類の映画→僕は大林宣彦映画みたいなものが好き→山戸監督の映画はすごく"大林宣彦映画"っぽい、みたいなロジックでしょう。本当は。

だから、僕は嬉しいのです。大好きな監督がひとり増えたことが。山戸監督の過去作をこれから掘ることができる楽しみがあることが。そして、もちろん、これから新作がたくさん見られることが!

 

"A YUKI YAMATO FILM"にたくさん期待してますよ! 監督!

 

 

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