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細々とこっそりとちまちまと

アイドルソングの感想・レビュー、ライブレポ。

東京女子流*4th JAPAN TOUR 2014 CONCERT*04 ~野音Again~ with 土方隆行バンド (bonsai.)のこと

東京女子流 ライブ

6月15日、東京女子流日比谷野外大音楽堂野音)でのライブに行ってきました。 

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様々なアーティストが"伝説"を刻んできたステージです。個人的に初めて訪れたこともあって、とても楽しみでした。そして、すごく緊張していました。

東京女子流にとっても2012年以来の2回目の会場です。昨年の3rdツアーのことや、4thツアーのファイナル公演でもありました。

梅雨の晴れ間なのが信じられないくらいの天気でした。まるで、この日のために天候が工面されて、奇跡の舞台が用意されたような。そんな快晴の野音。夕暮れにはまだ少し早い時間にステージは始まりました。

 

セットリスト

1.ヒマワリと星屑
2.頑張って いつだって 信じてる
3.W.M.A.D
4.Liar
5.Don't Be Cruel
(MC)
6.おんなじキモチ
7.大切な言葉
8.ちいさな奇跡
(MC)
9.それでいいじゃん
10.ふたりきり
11.ずっと 忘れない。
(MC)
12.十字架 
(MC)
13.キラリ☆
14.孤独の果て~月が泣いている~
15.Rock you!
(MC)
16.pain
17.Limited Addiction
18.運命
19.鼓動の秘密
(MC)
20.約束
En1.Attack Hyper Beat POP
(MC)
En2.Killing Me Softly

 

サンセット野音のセットリスト

ステージの照明が点灯されるとLed Zeppelinの『移民の歌』が流れ、バンドメンバーが入場。Led Zeppelinはアルバムのリマスター盤が発売されたばかりでホットなタイミングでの選曲なのかも知れません。「氷と雪の国からやってきた」*1という歌い出しも『アナと雪の女王』が大ヒットしている最中に聞くと何だかそういう曲のように思えます。これから香港、サンフランシスコでの公演を控えている東京女子流です。日本のアイドル文化を伝えていく、そんな意志があったのかも知れません。

バンドの入場曲すらそんな深読みをさせてしまうくらい、この日のセットリストは本当に素晴らしかったです。1曲目の『ヒマワリと星屑』から本編ラストの『約束』、アンコールの2曲まで無駄なく、よく考えられていたと思います。

 

このツイートで当日の『おんなじキモチ』の様子を見ることができます。もし、オールスタンディングのライブハウスだったなら、こんなにのびのび踊るスペースは確保できませんし、暗い会場の中では照明が当たる範囲しか見ることができません。ほどよく自分のスペースが確保できる指定席の会場で、屋外の明るい時間帯だからこそ、ステージと客席がお互いにお互いをはっきり見ることができて、こんなに幸せな一体感が生まれるのです。それは野音ならではのものです。

 

僕の席は先ほどの動画の撮影位置に近く、会場全体をくまなく見ることができました。ギリギリにチケットぴあでチケットを買ったため、最後列の入場口・物販付近という席だったのです。ステージから最も離れている席ですが、「最後列は見方を変えれば最前列」という考え方もあります。前方でコールを入れてペンライトを振り回してアイドルのライブとして楽しんでいる人。会場中央付近の音楽が最も綺麗に聞こえるあたりでその快感を堪能している人。立ち見席でステージぜんぜん見ないで全力で踊っている人。遠くの人の姿も明るい時間帯の野音ならよく見えるのです。

 
後方の、僕の近くのお客さんもユニークでした。通路にはみ出して飛んで叫んでいたおじさん。双眼鏡から目を離さないお父さん。知ってる曲は妙に正確に"振りコピ"するのに知らない曲はスマホいじってる女子などです。こんなこと書いてる僕だって、3曲に1回くらい泣いててセットリストとMCの内容をメモしながら見ていた変なお客です。振り返ればそこは通路と物販エリアで、ドリンクとフードを両手にライブの雰囲気を肴にしている人、飛行機や電車の都合で後ろ髪を引かれながら途中退場する人の姿も目にしました。

みんながマイペースに好きなようにライブを楽しんでいたように思えます。まるで"夏フェス"のような光景でした。

 
誰もが自由に音楽を楽しみ、それを許し、雰囲気を作り出していたのは野音という会場の魔法なのかもしれません。そして、東京女子流野音の魔法を引き出すセットリストを組み上げ、多様な音楽の楽しさが会場を鳴らし、響かせ、満たしていました。

 
やがて、この日最大の魔法の時間が訪れます。日が沈み、夜になる中で、会場が"夏フェス"から"ディスコ"へと姿を変えるのです。
『Limited Addiction  -Unlimited addiction-』で会場が跳ねたあの瞬間、『おんなじキモチ』のダンスとは違う密度の熱量でひとつになりました。『運命』『鼓動の秘密』東京女子流が作りだした"ディスコ"の夜が進む中で、その闇によって輝きを増し続けるペンライトの光が包み、それはとても幻想的で、夢や幻のような時間でした。

 

 

生バンドで見せたかったもの

ここで、ロックの聖地とも知られる野音にも関わらず『Bad Flower』『Mine』などロックサウンドが映える曲が外されていたことについて考えてみたいと思います。

2009年から続けているアイドリング!!!を筆頭に、PASSPO☆など生バンドを取り入れる女性アイドルが増えています。東京女子流も2011年から節目のライブでは生バンドを取り入れていて、経験値は豊富な方に入ると思います。過去には生バンドが売りの対バンイベントもあったと聞きますし、女性アイドルと生バンドのコラボレーションは増えていくのだと思います。

一方で、個人的に"生バンドドーピング"と呼んでいるのですが、生バンドのメリットを圧倒的な音圧や勢いに偏重して求めているのではと思うときがあります。ロック風のアレンジの曲を、実際に生バンドで演奏すればより良いというのは、安易な考えだと思います。それはそれで盛り上がるかもしれませんが、グループの方向性と一致していなければ「ただバンドの音がすごいだけ」という話で終わってしまうのですから。例えば、先にあげたPASSPO☆は曲によって使い分けたり、自分たちが演奏したりとあくまで生バンドを武器のひとつとして使えないか工夫の跡が見えますし、生バンドが売りになっているグループはすでに"生バンドドーピング"のメリットとデメリットをよく知っていると思いますが。

 

仮に、今回の野音東京女子流『Bad Flower』『Mine』で当然に会場を盛り上げたとしても、それはきっと生バンドの力が大きいと僕は思ったと思います。

先に述べたような、『おんなじ気持ち』が生み出した一体感も、"夏フェス"のような会場の少しけだるさが許される空気感も、昼が夜にかわる時間を使った魔法も、生バンドが簡単に吹き飛ばしてしまっていたかもしれません。

丁寧に、ただ盛り上げるのではなく、会場みんなが音楽を自由に楽しめるようにすることこそが、今回の野音東京女子流が目指したものだったのではないでしょうか。そんな考えの中で、『Bad Flower』『Mine』は盛り上げすぎてしまうと判断されたのだと思います。

 

『Liar』のとき、僕は生バンドをこう生きるのかと感嘆しました。『Liar』では曲中の衣装チェンジがお約束になっています。元々はMVで2番が終わった後の間奏中にチュチュスカートをはぎ取る衝撃シーンから始まったものです。今回の野音でもロングスカートからショートパンツに曲中で変身します。その瞬間、客席からはひと際大きな歓声が上がるわけですが、それに呼応するようにギターが大きく唸ったのです。当たり前ですが、普通のライブのカラオケ音源では絶対にありえないことです。

また、『それでいいじゃん』ではさわやかな雰囲気に生バンドがメリハリを付け、『孤独の果て』では本当に素晴らしい演奏のすべてを東京女子流の5人と客席が踊りやすくするアシストに尽くしてくれていたと思いました。

歌って踊る女の子たちがいて、それを見て応援して楽しむファンがいて、両方に優しく手を差し伸べてダンスに導いてくれる、そんな生バンドの姿を見ました。

 

考えてみれば、女性アイドル(ガールズグループ)と生バンドを一緒にすること自体が音楽の歴史の中で実験的な取り組みなのかも知れません。例えば、ガールズグループの活動が活発な韓国でも生バンドを背負ってステージを作るグループはひとつもありません*2。アメリカでは近年ガールズグループ自体が下火であり、歴史をさかのぼればスプリームスとか出てきますが「歌って踊る」今のガールズグループの姿の原型であっても異なるものです。

女性グループと生バンドということでは、自分たちが演奏するガールズバンドが主流であり、アーティスティックな面でもセールスの面でも効率がいいとすぐに思います。自分たちの歌や音楽を自分たちだけでゼロから生み出し伝えられるのですから。音響面での技術的進歩の流れに乗りながら、"踊る"ガールズグループは打ち込みを中心としたカラオケ音源を使う姿でより効率が良い方に進んでいったのでしょう。

加えて、ティーンの女の子のグループということ、お客さんもステージを作り上げる要素として小さくないことなども一緒に考えると、日本の女性アイドルのオリジナリティに気付かされます。東京女子流のようなガールズグループは日本の外には存在せず、野音でおこなわれたような生バンドとステージのメンバーと客席が生み出す一体感は、僕たちが思っている以上に貴重な音楽体験なのかもしれません。

 

僕は『Limited Addiction』が『-Unlimited addiction-』に変わるあの瞬間の高揚感を一生忘れないでしょう。あの日あの時間の野音で起きた魔法は、東京女子流が歩んできた歴史と会場を埋め尽くした全員の気持ち、それをひとつにして引き上げる生バンドのすべてがそろわなければ生まれない奇跡でした。同時に、生バンドとガールズグループの音楽表現が次の次元に進んだ一歩だったのです。

 

 

Limited Addiction

さて、いろいろと書いてきましたが、皆さんお気付きでしょうか。この手の記事では必須な言葉たちがまだ出てきていないことを。そうです。メンバーの名前です。長い長い前置きを終えて、いよいよ東京女子流のことを語りたいと思います。笑

 

今回の野音では多くの人が「歌姫・小西彩乃の復活」を感じました。僕だってそうです。小西彩乃の歌声が聞こえているところの大半は泣いているか、泣いていなくても涙腺に刺激が来ていました。でも、この記事では小西彩乃の物語ではなく、もっと俯瞰した視点で「東京女子流の復活」の物語を考えてみたいです。

 

かつて「東京女子流はお人形さんみたい」とよく言われていました。そのことについて4thアルバム『KILLING ME SOFTLY』の解説の中で東京女子流のスレスレTV!』での取り組みを通じて「大人による作り物の世界ではない5人の少女による東京女子流が生まれた」と書いています。良かったら読んでみてください*3。ちょっと長いですけど。笑

 

昨年2013年の日本武道館公演のライブDVDを見ていて、最も感動的だったのは『Get The Star』でした。同年春の3rdツアーのドキュメンタリーで思うように歌えないことでスランプに陥った彼女が、ドラムを叩きながら登場してその笑顔を見た瞬間、見ている僕の方も何だか救われたような気持ちになりました。一方で、代表曲であるはずの『Limited Addiction』はその日本武道館公演のセットリストからは外されていました。

改めて、考えなければいけません。2013年の日本武道館とは何だったのでしょうか。そこにいたるまでの活動で目指していたものとは。きっとその道の延長線上に今回の野音はあったのだと思います。

 

昨年、東京女子流がぶつかった大きな壁、それは「お人形さんみたい」な自分たちの姿だったのかもしれません。もちろん5人がどうこうということではなく、プロジェクト全体の解決すべき問題点として、大人が作り上げた東京女子流というイメージに届いても届かなくても、先に進めない状態になってしまったのだと思えてしまいます。

日本の女性アイドルの魅力の中に"できていないことによるギャップ萌え"といった要素が含まれます。東京女子流がそんな低質な魅力をグループとして目指していたことは決してないはずですが、当時の東京女子流の魅力に気付いた熱心なアイドル好きはそういうものを勝手に受け取ってしまいます。"ギャップ萌え"は"成長過程の魅力"など綺麗な言葉に置き換えられ、"できていないこと"を許してしまう人たちに東京女子流は応援され2012年の野音を迎え、最初の日本武道館公演へと進んでいきます。

みんなが全力で頑張っていたことは間違いありませんし、そのときそのときで最善を尽くしていたのだと思います。断じて誰も悪くなかったのです。きっと神様のいたずらかおせっかいなんです。

最初の日本武道館を終えた東京女子流は、"できていないこと"を許されないくらいのハンデを背負わされてしまいました。「お人形さんみたい」と言われていたアイデンティティそのものが大きく揺らぐことになったのです。

 

そんな東京女子流が手を伸ばしたもの。それが"ロック"でした。"ロック"の本質は「モテたい」と「俺にもできる」だと思っています。「モテたい」とは他人からの評価を求める強い気持ちであり、「俺にもできる」は裏返しの言葉で自分にしか生み出せない価値があるはず、または自分にも価値があるはずだ、という強力な思いそのものなのです。

考えてみれば、"ロック"の価値観は"お人形さん"に求められるものとは180度違います。"ロック"は自分中心の世界であり、"お人形さん"が許されるのは自分以外の誰かにとって都合がいい世界なのですから。

 

もしも、再び『Limited Addiction』を歌うこと・聞かせることができたなら、そのときが東京女子流の復活のときだと思っていました。なぜならば、この曲こそが"お人形さん"からの脱却を要求しているからです。大人っぽいサウンドや、高いキー、高度な技術が必要とされるメロディーや歌。何よりも歌詞の中で歌われていることこそが、今いる世界の苦しみであり否定であり次の一歩なのです。

曖昧なんて嫌だよ
露骨に切ないよ
キミだらけの日々のタイムリミット

東京女子流『Limited Addiction』を自分たちのものにすることで、「キミだらけの日々」を抜け出し本来の姿を手にしたのです。改めて、「夢とか未来を目指して 走りだす」ことを『約束』したのです。

 

最近、東京女子流は"等身大"という言葉をよく使うようになりました。2013年の武道館公演を超えて、4thツアーで全国を回った自信が生み出した言葉なのだと思います。

ライブ本編が終わって、アンコールの『Attack Hyper Beat POP』のとき、僕もやっと自分自身が心から楽しんでいたことに気付きました。東京女子流が使う"等身大"は、きっと自分にとって都合がいい姿をあらわす言葉とは違い、他者から求められる大きさと自分たちがありたいレベルのどちらも最大値で満たすことができる姿のことなのだと思います。

アナと雪の女王』で歌われる「ありのままで」が自分勝手・自己防衛な姿で終わらないのと同様に、自分自身の成長と同時に周囲を巻き込み変えていくことで、遠回りしながら"等身大"の自分でいられる世界を作り上げたのです。

 

そうして、かつて"お人形さん"だった女の子たちは自分自身を取り戻し、『Killing Me Softly』という本当のはじまりを歌ったのでした。それは、言葉にできないくらい感動的なフィナーレでした。

 

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そんなこんなで、3つの視点で東京女子流野音を語ってきました。深く掘り下げながら、いろいろな視点で考えることが求められるライブだったのです。

ひとつ間違いないのは、野音で生バンドで今の東京女子流が見られるライブは今しか存在しません。それを会場で見届けられたこと、応援できたことを幸せに思います。

 

同時に、東京女子流のこれから未来に向かっていく物語を一緒に見届けたいと強く思いました。

ときめきは光る星屑
やがて想像を超える

このライブの1曲目『ヒマワリと星屑』の歌詞のように、きっと僕たちが考えるそのずっと向こうに連れていってくれることでしょう!!

 

 

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