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細々とこっそりとちまちまと

アイドルソングの感想・レビュー、ライブレポ。

日本語ラップを聞かない人のための「The R 〜The Best of RHYMESTER 2009-2014〜」特集 その3・終


つづきです。

フラッシュバック、夏。

そして季節は冬 木枯らしがピュ〜 コートの襟を立てて街を浮遊
イルミネーションにみんな昂(たかぶ)る 大通りのなか自分だけがブルー

 まるで逆の季節の言葉を持つこの曲は、「あの夏」を歌った変則的なサマーソングとしての一面を持ちます。どんなに楽しい夏にも必ず終わりが来てしまうもの。終わらない夏は現実にはないのです。でも、それが本当にアツい夏だったならば、熱は僕たちの体に残ります。残ってしまった熱にすら当てられながら、巡る季節を生きていく、そんな切なさを感じさせてくれるところがまた夏らしい大好きな曲です。

サマー・アンセム feat. 小野瀬雅生CRAZY KEN BAND

当然とうぶん節電中 だがそうそうヤワじゃない 世間じゅう
ロクに冷房もない時代思わせるこんなチューンが席巻中

 CKB印のサーフロックサウンドはイントロからアウトロまで夏そのもの。一方で、ヴァースの中には他のサマーソングにあるような夏らしい言葉はほとんど出てきません。3.11直後の自粛ムードの中で作られた曲で、RHYMESTERがテーマと向き合い、悩み、表現の可能性に至るまでのプロセスが記録されているように思えて、その思いの強さと、どんな状況や対象でも表現にできるという勇気があふれています。

The Choice Is Yours

選ぶのはキミだ キミだ 決めるのはキミだ キミだ
考えるのはキミだ 他の誰でもないんだ
さあ歌いな

 RHYMESTERの楽曲の中でも社会風刺性が強いと言うか、聞いていてどうしても昨今のいろいろなことが頭に浮かんでしまいます。右や左のスタンスをRHYMESTERが先導して示すのではなく、選択肢がいつだって僕らの前にあることを示す曲で、目から鱗が出るような曲です。あんまりこういうスタンスの作品はないのでは。「選択できる」ことは自由と引き換えの責任があって、だからこそひとりひとりが考えることが大切で、この「考える」ことはRHYMESTERが一貫して大事にして、伝えているアーティストとしてのテーマのひとつです。

ゆめのしま

時代はBPM143で進むぜ このONE way

音速以上で回転中 時速10万キロで公転中

 アルバム『ダーティー・サイエンス』の実質最初の曲で、疾走感のあるトラックと熱の詰まったヴァース、まるでエナジードリンクのように聞いてて元気が出てきます。聞いている間の気持ちの良さ、高揚感という点では、RHYMESTERの曲の中でも随一だと思います。

It's A New Day Piano session with SWING-O

いろいろがあって いろいろがなくなって いろいろわかって
ひとは等しく優しくなれた 前より少し逞(たくま)しくなれた

だってここで生きてくしかねぇんだ まだ何も書き込まれてない未来 新しいカレンダー
確率は依然として変動 エンドマークなんか出やしないぜマイ・フレンド

 歌われていることは決して優しくありません。見たくない現実を前にして心が折れたり、忘れようとしたりしながら、それでも前に進もうとする覚悟と決意に火をつけるような曲です。言わば檄文。SWING-Oさんのピアノアレンジで、暖かく感じる反面、より深刻なことのように聞こえてくるのは僕だけでしょうか。静かなようで、とても熱い曲です。

This Y'all, That Y'all session with SCOOBIE DO

我々はイイ顔精神にのっとっていつまでも パーティー盛り上げます
道具は2本のマイク & 2ターンテーブル

 ボーナストラック的な蔵出し曲。SCOOBIE DOとのこのセッション、一発録りということで重ねてビックリです。前のベストアルバムの『けしからん』も良かったですけど、負けないくらいこちらも素晴らしい! ライブで生で見たいコラボです!

おわりに

 そんなこんなで3回に分けて語りました。全部読んで下さった人がもしもいるなら、すごく嬉しいです。3日間、歌詞カード読みながらRHYMESTER聞きまくって楽しかったです。
 思えば、RHYMESTERを聞くときに歌詞を読むことは今まであまりなかったです。なぜなら、ぼんやり聞いてるだけでも歌詞を聞き取ることができて、リピートしてるうちに好きなところがどんどん見つかっていたからです。こういう書き方が正しいのか分かりませんが、まるでポップソングみたいに歌詞を聞いて曲の世界に入ることができるのがRHYMESTERの音楽の魅力です。しかも、深イイことばかり歌っていて、そのヴァース(歌詞)が面白い。日本語ラップを聞いたことない人にもRHYMESTERをおすすめしたいのは、そんな聞きやすさと面白さが両立できているからです。
 そして、新曲がいつも良いというのも信頼できるところです。結成25年のキャリアを経ても、最新が最良というのは恐るべきことですし、これからファンになる人たちにも優しいのではないでしょうか。なぜRHYMESTERがそうなれたのかについて、僕のブログから1mmでも伝われば嬉しいですが、ぜひ最新ベストアルバム「The R 〜The Best of RHYMESTER 2009-2014〜」を聞いて気付いて欲しいです。


(おわり)


The R~The Best of RHYMESTER 2009-2014~(初回生産限定盤)(DVD付)

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