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細々とこっそりとちまちまと

アイドルソングの感想・レビュー、ライブレポ。

9nine、チームしゃちほこ、私立恵比寿中学、GEM:第九サンプリングアイドルソング選手権

アイドルソング チームしゃちほこ 9nine 私立恵比寿中学 GEM

 本日12月17日はGEMの3rdシングル『Star Shine Story』の発売日です。この企画を思いついてからずっとこのときを待っていました。季節は冬であり年末、はからずもぴったりな時期です。

交響曲第9番 (ベートーヴェン)
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン交響曲第9番(こうきょうきょくだい9ばん)は、ベートーヴェンの9番目にして最後の交響曲である。副題として「合唱付き」が付されることも多い。また日本では親しみを込めて「第九」(だいく)とも呼ばれる。第4楽章は独唱および合唱を伴って演奏され、歌詞にはシラーの詩『歓喜に寄す』が用いられる。第4楽章の主題は『歓喜の歌』としても親しまれている。古典派の以前のあらゆる音楽の集大成ともいえるような総合性を備えると同時に、来るべきロマン派音楽の時代の道しるべとなった記念碑的な大作である。
Wikipediaより〜

 親しみを込めて、当ブログでも「第九」と呼ばせてもらいます。

 多様化するアイドルソングシーン。その中で、同じ題材をモチーフとし、オマージュし、サンプリングしている4組のアイドルたち。この惑星直列級の事態を受けて、脳内有識者委員会によって以下の検討が下されました。
 9nineEvolution No.9』、チームしゃちほこ『よろしく人類』、私立恵比寿中学『ハイタテキ』、そしてGEM『Star Shine Story』の4曲の中で、一体どいつがテッペンなのか決めなければなりません。血で血を洗うならぬ、歓喜で歓喜を洗う戦いの火蓋が今開きます。

9nineEvolution No.9


 リリースは昨年6月と図抜けて早いこの作品。メインとして他の洋楽ヒットソングのサンプリングがされていて、そちらの方が目立ってしまっていますが、間奏で実に効果的に第九が使われています。
 今年6月にリリースされた5thアルバム『MAGI9 PLAYLAND』にも収録されていて、アルバムの流れで聞くとますます魅力が感じられます。本当に不思議な曲で、聞けば聞くほど、時間が経てば経つほど新しい発見があって、今ではすごく大好きな曲です。改めて聞いてみても、今回並べたどの曲よりも斬新で、オリジナリティがあって、面白いと思いました。
 この曲が第九から引き継いでいるものは「革新性」です。初めての大編成、歌と演奏のコラボレーション、60分を超えるランニングタイムなど、第九は音楽シーンにイノベーションを起こした1曲です。ベートーヴェン自身もパトロンと距離を置くことを目指し、自分自身の音楽を追求した最初の音楽家ともされている革新的な人物です。『Evolution No.9』の他の曲では代替不可能な魅力や、9nineが開こうとした扉はそんな第九やベートーヴェンのあり方を感じさせるものです。
 アイドルブームと呼ばれる昨今ですが、まだまだ成熟するには早いと僕は思います。現状にとらわれることなく、新しいことにチャレンジする精神を応援する気持ちを込めて、『Evolution No.9』を支持します。

 

チームしゃちほこ『よろしく人類』


 今年8月にリリースされた1stアルバム『ひまつぶし』に収録された作品です。MVが公開されていることや、アルバムの中の位置付けなど、大事な1曲として扱われている印象です。
 過去にも『首都移転計画』や『愛の地球祭』など、アイドルとしてギリギリなサイズのテーマをギャグとして扱ってきたチームしゃちほこ。一方で、『よろしく人類』では大風呂敷から逃げることなく、真面目に歌っているのが印象的です。チームしゃちほこだからこそ歌える楽曲に違いないですし、説得力があります。それだけではなく、歌詞の中で「ベートーベン」「喜びの歌」と第九そのものに言及した唯一の曲です。
 ドイツ語である第九の歌詞は、現代の日本人の立場では難解さを感じるものです。日本語訳や専門家の解説などを読んでも、わかったようなわからないような印象が残ります。どんなことを歌っているのかをシンプルに書くならば、人生讃歌、生命讃歌、生の喜びそのものの歌となるはずです。それは、『よろしく人類』で歌われていることです。思うに、この曲の歌詞や聞いた人が受け取るものこそが第九のテーマであり、現代に生きる僕たちにとって最も飲み込みやすい第九の解釈なのではないでしょうか。
 第九が歌詞を持った「歌」である以上、歌詞を正しく理解し、リノベーションした『よろしく人類』を特別に評価しないわけにはいきません。

私立恵比寿中学『ハイタテキ』


 今年11月にリリースされたメジャー7枚目のシングルであり、現在の8人体制として2枚目となります。元JUDY AND MARYのTAKUYAがサウンドプロデュースとして関わっていて、J-ROCK色が強い作品です。
 曲名の『ハイタテキ』は「排他的」と「歯痛的」のダブルミーニングで、周りが見えなくなって勝手な妄想や先読みばかりしてしまう中学時代にありがちな恋愛観を歌っています。等身大や、成長途中の様子を扱わせたならば、他を寄せ付けない強さを発揮させるのが私立恵比寿中学です。そんなグループの強みが発揮されていて、実体験を思い起こされる身近さで、歌詞だけを読むとネガティブで「痛い」気持ちを引き起こす怪曲だと思います。
 第九の中で今回サンプリングされているのは第四楽章の『喜びの歌』の部分です。ベートーヴェンの人生は決して裕福で、幸福なものではなかったと聞きます。第九を完成させた頃には聴力のほとんどを失っていたという説もあり、絶望の淵で生まれた曲なのではないでしょうか。それでも、ベートーヴェン音楽と人間の力を信じたに違いありません。どんなに厳しいときでも、死にたくなる瞬間でも、それをひっくり返す力が人間にはあり、それを音楽に託したのが第九の第四楽章なのです。
 皆さんの中学生時代の恋愛を思い出してみてください。当時のそれは死活問題だったはずです。絶望と、それに負けない生の力と、代え難い喜びと幸せのほんのひととき。『ハイタテキ』にはそのすべてがあります。第九の持つ正と負のエネルギーを最も感じさせてくれます。それは、針の穴を通すような繊細さが求められる、実は高度でとてつもない曲です。

ハイタテキ! (初回生産限定盤A)(DVD付)

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GEM『Star Shine Story』


 最後は本日リリースされたばかりの楽曲です。今年8月TOKYO IDOL FESTIVALで初披露されたときから一部のアイドルファンの間では注目されていました。
 4曲の中で最も今っぽい印象があります。王道の恋愛ソングな歌詞、ダンスミュージックとして完成度が高いサウンド、壮大で示唆的なイントロや切れ味が良く中毒性を生み出すアウトロなど、ポップソングに求められるアレコレを満たしています。それは、avexのアイドルグループだからこそ表現できることなのかもしれませんし、10人が10人とも宝石のような個性、実力を持ったGEMでなければ成立していなかったでしょう。『Star Shine Story』からは過去のポップソング、アイドルソングの集大成としての片鱗を感じることができます。
 ベートーヴェンにとって第九は最後の交響曲であり、集大成でした。その時代の音楽の限界に挑戦し続けた音楽人生は前例が無いこと、実現可能性が低いこと、不可能なことの連続だったと聞きます。それが現代ではどうでしょう。その挑戦は偉業とされ、その発明は無くてはならないもにになりました。ベートーヴェンの集大成が2014年に繋がり、果てなき未来のコンパスとなっています。まるで星の輝きのように。
 4曲の中で最も第九のメロディーを生かしているのが『Star Shine Story』です。それは歌詞にも呼応していて、第九ソング中の第九ソングと呼ぶべき作品です。ひょっとすると、J-POPのクラシックとして生き続け、引き継がれ、普遍的なものになっていくのはこの曲なのかもしれません。

Star Shine Story (CD+Blu-ray)

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 いかがでしたでしょうか。4曲が4曲とも第九のさまざまな魅力にスポットライトを当てていることが伝わると嬉しいです。そんなこんなで、今回の選手権は「全員優勝!」として個人的には決着としたいと思います。
 ここから先は皆さんで聞き比べて楽しんでみてください。音楽性や歌詞のこだわりなど個性豊かですよ。そうして、ぜひぜひ幸福で喜びに満ちた1年の終わりをどうぞ〜。


*参考リンク
↓↓わかりやすく読んで楽しい第九の解説です

第九の歌詞「このような音ではない!」の秘密 [クラシック] All About


↓↓時代背景など勉強になりました

【ベートーヴェン・交響曲第9番「合唱」作品125】構想から完成まで30年かかった交響曲の最高峰|今週の音盤=心のビタミン ビジネス・パーソンのための音楽案内|ダイヤモンド・オンライン


↓↓やっぱり難解ですが一番詳しい歌詞の解説でした
第九の歌詞と音楽 - ベートーベン(a.k.a.ベートーヴェン)交響曲9番とシラーの「歓喜によせて」


ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」

ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」

ベートーヴェン:交響曲第9番<合唱>

ベートーヴェン:交響曲第9番<合唱>

ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」

ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」

ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」

ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」