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細々とこっそりとちまちまと

アイドルソングの感想・レビュー、ライブレポ。

カラフルな少女たちと透明な音楽:乃木坂46 1stアルバム「透明な色」

 個人的に、乃木坂46に最も熱があったのは2013年前半のことでした。前年末の『制服のマネキン』で牙をむき、3月『君の名は希望』でアイドル好きの一部の話題をかっさらい、7月『ガールズルール』は僕の2013年ベストソングのひとつでした。
 そのときから、僕はこの日をずっと待っていました。ただ待っていたわけではありません。年間レベルで超重要作になるという期待と確信とともにです。
 昨日のブログにも書きましたが、フラゲ日にゲットし、すでに聞きまくっています。僕の思いは間違っていませんでした。今が1月だとか関係なく、このアルバムは今年最も聞くべきCDでしょう。

 乃木坂46のことを好きかどうか、知ってるか知らないか、そんなことは前提にすらならないレベルで、ある意味で怖いくらいの大傑作です。少しでも、その魅力が伝わるよう、気合を入れて書いていきます。


透明な色(Type-A)(DVD付)

透明な色(Type-A)(DVD付)



 最初に、どうゆうスタンスで乃木坂46を見てきたかについて書きます。乃木坂46に対して、いわゆる「完全在宅/音源オンリー」のファンでした。デビューシングル『ぐるぐるカーテン』からリリースがあるごとに、音源は必ずチェックしてきました。カップリングも全部ではありませんが、半分ぐらいはCDやiTunesの配信で持っています。
 一方で、ライブやイベントに行ったことはなく、北海道でも放送中の『乃木坂って、どこ?』もまともに見たことがありません。メンバーを覚えようとした時期もありましたが、今は結局、生駒ちゃんしか顔と名前が一致しないような状態です。(それも、HKT48宮脇咲良ちゃんとのテレビ番組での共演がきっかけという)

 アイドルにとって現場がどれだけ大事かも知ってるつもりの上で、こんな感じでふ。中途半端な記事にしかならないことは間違いありません。知らない部分、足りない部分、勘違いしている部分などなど、出てくるかと思いますし、それは申し訳ないことです。
 その分、きっと破天荒で、斜め上な記事ができあがるはずです。「完全在宅/音源オンリー、でも乃木坂46好き」だったからこそ書けるものがあると自分では思っています。

 前置きが長くなりました。そんな僕なので全曲レビューというわけにはいきませんでした。これから、僕の特に大好きで、大好きで、大好きな楽曲について、語っていきたいと思います!


好きすぎて生きるのがツライ3曲

ガールズルール

 乃木坂46の曲の中で、最も語りたいのが『ガールズルール』です。過去にブログで語り、ランキングで語り、サマーソングとして語ってきましたが、今でもぜんぜん語りきった気がしませんし、僕的に過去の曲ではまったくありません。最初にしびれたポイントは2番の導入部分でした。歌詞の「センチメンタル」に合わせて、無邪気に弾けまくっていた1番のサウンドからほんの少しだけ変わり、2番では曲が本来持っていた寂しさをわずかに強調しています。そんな2番が終わった間奏では、サマーキャンプの最後の夜のようなテンションで盛り上がっていきます。クラップからサックス、エレキギターへ。そんな最高潮から、まるで線香花火のように、曲は終わってしまいます。無邪気さがやがてセンチメンタルに変わっていく季節、それが夏であり、『ガールズルール』は夏そのものを完璧にパッケージしている楽曲です。この曲こそが夏であり、聞くたびにそのときを思い出し、僕を夏に連れて行ってくれるのです。

13日の金曜日

 乃木坂46でどころかすべてのポップソング、音楽の中でオールタイムベスト級に大好きなのが『13日の金曜日』です。好き好き好き好き! イントロなどで出てくる「でっでっでーで でっでっでででで」というリズムはモータウンビートと呼ばれるものです。1966年発表のスプリームス『恋はあせらず』が有名ですが、多くの日本の歌でも使われているリズムであり、20世紀ポップソングの大発明のひとつです。モータウンビートには「行ったり来たりする感じ」を演出する機能があり、特にJ-POPでは、恋愛における胸の高まりを表現することに使われているようです。恋愛ソングである『13日の金曜日』もそのひとつなのですが、曲中にリズムを抜いたり変化させたりすることで「いけるかな?いけないかな?」的な展開を感じさせてくれます。これは、最も典型的なサスペンスの手法であり、映画をテーマにした歌詞に完璧にフィットしています。曲を聞いている間、映画館に連れて行ってくれて、ハラハラドキドキさせてくれる本当に大好きな1曲です。

あなたのために弾きたい

 初めてこのアルバムを通して聞いたとき、最も度肝を抜かれた曲です。舞踏音楽のリズムであるワルツに乗せて、ピアノと自分、音楽と自分、そして聞き手と自分とだんだんと変化していく歌詞。ソロ曲であり、当初は誰がどういう背景で歌っているのか僕は知りませんでしたが、それでも歌う少女の渾身の思いや優しい心は十分に伝わってきました。あとになって、『あなたのために弾きたい』は生田絵梨花さんの初めてのソロ曲だと知ります。生田絵梨花さんが幼い頃からピアノを本格的に習っていたこと、大きな夢のひとつがミュージカルの道であることを知りました。何も知らない僕でしたが、生田絵梨花さんのことをひとつひとつ知ることがまるでパズルのピースみたいにハマっていって、『あなたのために弾きたい』という楽曲の下書きに色が乗っていくような感覚でした。知らないことを伝えてくれる力がこの曲にはあって、そんな音楽に出会えることはとても珍しく、幸せなことだと思いました。


 いかがでしょうか? 好きな気持ちだけでも伝わればと思いますし、もし伝わってなくても好きなものは好きです。大好きです。
 曲数が多いことを差し引いても、こんなにも特別に好きすぎる曲が1枚のアルバムに入っていることはそんなにあることではありません。次は、そのことについて書いていきます。


石原さとみの好きな色

 ここで突然すみません。僕の昔話です。もちろん実話で、今から10年と少し前のことです。僕は石原さとみにハマっていました。朝の連続テレビ小説てるてる家族』の主演をしていた頃で、大学生のときのことです。掲載されている雑誌を買い、ヤフオクでグッズや切り抜きを集めていました。放送されたテレビは比喩ではなくVHSが擦り切れるくらい何度も見て、DVDプレイヤーがおかしくなるまで出演映画をリピートしていました。
 就活のタイミングで東京に行ったときにNHKスタジオパークに収録の見学に行ったこともありました。僕がドルヲタになったのはここ数年のことですが、今とやっていることはそんなに変わらないことに笑ってしまいます。そして、現在の大学生の人やもうすぐ社会人の皆さんには自分の本当の趣味嗜好がそう簡単に変わるものではないことをお伝えしておきます。この道の抜けられなさすごい。笑

 当時、石原さとみが好きな色を聞かれていたインタビューの記事を今でもよく覚えています。彼女は「好きな色は白です。理由は、作品に合わせて自由に染まる女優になりたいから」と答えます。現在の"可愛いの権化"みたいな活躍を想像もしていなかった頃です。
 アルバムを繰り返し聞いているうちに、突然、このことを強烈に思い出しました。タイトルが『透明な色』であること以上に、乃木坂46というグループが当時の石原さとみと僕の中で重なるものを持っているからでしょう。

 CD2枚組のタイプA・タイプBに収録されている28曲はバラエティに富んだものです。さまざまなジャンルの1曲1曲は別々の色を持っています。デビューシングル『ぐるぐるカーテン』のリリースは2012年2月でした。それから約3年の集大成であり、ほとんどベストアルバムのような作品であることを踏まえても、これだけ多彩な音楽が集まることは滅多にありません。
 それを可能にし、乃木坂46の作品群として筋を通しているものは何なのでしょうか。それは、音楽スタッフのこだわりや熱意に他なりません。その上で、乃木坂46が楽曲に合わせて「染まる」ことが不可欠だったと思います。このアルバムの28の作品の中で、乃木坂46は女優であり、少なくとも僕には『わたしのグランパ』で日本アカデミー賞新人賞を獲得した石原さとみ級に初々しくも素晴らしい表現を見せて、聞かせてくれています。

 そんな乃木坂46は真っ白な存在であり、同時に、圧倒的にカラフルな音楽を生み出す少女たちです。その上で、アルバム『透明な色』が打ち出しているのは、さらに先の音楽と色のあり方です。


あなたの無色透明は何色ですか?

 ここから少しだけ難しい話をします。頑張って付いてきてもらえればきっといいことがありますよ!笑

 そもそも、色とは何なのでしょう。当たり前にそこら中にあって、色のない世界は水墨画かモノクロの映画や写真でしか出会えないように感じてしまいます。もちろん、そうではありません。

 目を閉じてみてください。当然何も見えなくなって、真っ暗になるでしょう。それが最も身近な色のない世界です。色の正体は光の反射なのです。
そして、光の反射だけで色を説明することはできません。足りないものがあります。それはあなたです。あなたの眼と脳があって、世界中は色付くのです。

 こんな話があります。男性と女性では色の感じ方に違いがあるというのです。同じオレンジを見たとき男性は女性よりもそれを赤っぽく感じ、同じ芝生を見たときには女性には青色寄りに、男性には黄色寄りの緑に見えている可能性が高いそうです。男性ホルモンや脳の得意分野の違いが理由みたいです。
 その違いは、男女の差ほどではなくても、ひとりひとりが持っています。現実生活で問題にならない範囲で。例えば、僕とあなたの青色が同じ青ではないかもしれませんし、あなたには僕の見えない色(紫外線など)が見えているかもしれません。。みんなが同じ色を見ているようで、実は本当に少しずつ、微妙にそれぞれに違うのです。そしてそれを確かめるのは、主観という牢獄に囚われている僕たちには不可能に近いことです。

 もし、音楽に色を感じるとするなら、そうした違いはもっとはっきりとするのかもしれません。ある人には強烈な色であっても、他の人には感じられないかもしれません。あなたにとって鮮烈な赤である音楽が、僕には透明になってしまうことだってあるはずです。
 作品に込められた個性がさまざまであればあるほど、ジャンル分けが難しい繊細で他に無い音楽であればあるほど、その違いははっきりと現れることでしょう。音楽には現実の色のような名前も、厳しく区分されたジャンルはないのですから。
 逆説的に考えると、そんな個性豊かな作品では、どうしても興味が持てない曲、そして、それを埋めて余りある「大好き!」との出会いがあります。誰しもが「好きすぎて生きるのがツライ」くらい大切な音楽と出会える絶好の場所になるのです。

 乃木坂46 1stアルバム『透明な色』は、まさにそういう作品です。このアルバムには、きっと特別な音楽があります。
 あなただけの色を探してみませんか?


乃木坂46 vs AKB48

 最後に、公式ライバルであるAKB48とのことについて触れたいと思います。サウンド面で大きな差別化がされている両者ですが、歌詞の面はある意味でサウンド以上にはっきりと違いを打ち出しています。どちらも秋元康が書いているのに、です。 
 乃木坂46の歌詞はときどき大味に感じます。決して悪い意味ではありません。その歌詞の特徴によってAKB48の歌詞よりずっとアブストラクト(抽象的)な、共感の入口が多い歌詞となっているのですから。かつての僕もそうでしたが「AKB48は聞かないけど乃木坂46は聞く」という人たちにとって、サウンドの良さと同じくらい、乃木坂46の歌詞に秘められた工夫は大きなものなのだと僕は思います。
 
 新しい曲になればなるほど、両者の違いは目だってきているように思えます。そして、なんと! 1月21日にAKB48 6thアルバム『ここがロドスだ、ここで跳べ!』がリリースされることで、同じ月の間に、両方を並べて聞くことができるのです。
 リリースになりましたらこのブログでも必ず取り扱います。皆さん、その際にまた覗きにいらしてください〜。

 それでは、最後まで読んで頂いてありがとうございました。感想と拡散お待ちしてます! では、また。



参考

光と色のこと。とても勉強になりました。


光と色の話|WEB連載|テクニカルガイド|画像処理用照明|製品紹介|シーシーエス株式会社

音楽サイトのアルバム解説はこちら。


乃木坂46、初アルバム『透明な色』に与えられた課題 2015年の彼女たちに必要な「色」とは? - Real Sound|リアルサウンド

『あなたのために弾きたい』を歌う生田絵梨花さんのブログ。いい文章書くなあ。


クリスマスとお正月 ~don♪317 | 乃木坂46 生田絵梨花 公式ブログ