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ターニングポイントで輝く「個」の魅力:AKB48 6thアルバム「ここがロドスだ、ここで跳べ!」レビュー

 1月21日リリースされたAKB48の6枚目のアルバム『ここがロドスだ、ここで跳べ!』をずっと聞いています。単純に曲が多いということもありますが、それ以上の魅力があって、1曲1曲じっくり聞いて楽しいです。おかげで、レビューを書くのが遅くなってしまいました。笑

ここがロドスだ、ここで跳べ! (Type A)【初回限定盤】(多売特典付き)

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 "かつての僕"もそうでした。「アイドルは好きだけどAKB48はわからない」という人は結構いると思います。 そんな"かつての僕"のような人にこそ聞いて欲しいアルバムです。

 AKB48は大きいだけの存在ではありません。確かに、メンバーや楽曲の数は膨大で、シングルのセールス、ライブの動員規模、メディアでの活躍、いずれもアイドルの常識のはるか雲の上にあるものです。手が届かない、自分から関わることは決してないと思い込んでしまったのが"かつての僕"でした。
 一方で、AKB48を作り上げているもの。AKB48の魅力の本質。それは"かつての僕"にも親しみがある、よく知っているものばかりです。
 AKB48を"遠くに見える山"にしておくのはとてももったいないです。本当に小さなきっかけが、音楽の力が、"かつての僕"と同じあなたを、一瞬で山の中に連れて行ってくれるはずです。そこには、かわいくて楽しくて元気をくれるもの、アイドルの面白さがあります。

 アルバム『ここがロドスだ、ここで跳べ!』は、今このタイミングでAKB48に触れて、知って、好きになるきっかけをくれる作品です。そこにはアイドルの面白さと未来が詰まっています。語っていきたいと思います。
 

DISC1
1. 希望的リフレイン
2. ラブラドール・レトリバー 
3. Reborn
4. 鈴懸の木の道で…(略)やや気恥ずかしい結論のようなもの
5. 前しか向かねえ
6. 君の瞳はプラネタリウム 
7. 2人はデキテル
8. ハート・エレキ 
9. 心のプラカード
10. 47の素敵な街へ 
11. 選んでレインボー
12. 恋とか…
13. 愛の存在 

 このアルバムはいずれもCD2枚組のタイプAとタイプBの2形態がリリースされています。共通のDISC1は2013年10月リリースの『ハート・エレキ』から2014年11月リリースの『希望的リフレイン』までシングル6枚のタイトル曲と劇場盤収録のカップリングを中心に収録されています。1年間の活動報告みたいな内容だと思いました。
 AKB48には選抜メンバーという仕組みがあります。まったく同じメンバーで歌われた曲はありません。運営側の方針や総選挙、じゃんけん大会などの結果として生まれたシングルのタイトル曲は、そんな成り立ちのユニークさまでもしっかりと感じさせてくれます。カップリング曲であれば、若手選抜や同期選抜、選抜未経験者の選抜など遊び心があります。
 CDを1枚通して聞いていると、多数のアーティストが参加したコンピレーションアルバムや洋画のサントラを聞いているような感覚になります。同じグループのはずなのに、こんなにも違っていて、その全部にAKB48のラベルが貼られているのです。
 過去のアルバムに収録されていた『Everybody、カチューシャ』や『恋するフォーチュンクッキー』のような「圧倒的なフックになる曲」がないという印象もありました。それは、神7と呼ばれたメンバーが相次いで卒業した後の、スターの椅子が空いているAKB48の今をそのまま写しているようだと思いました。
 曲がどれも違っていること、際立って目立ちすぎる曲がないことは、全体を均一に見せてくれる効果を生んでいます。相乗効果で曲の個性を強調しながら、1曲1曲の魅力に光を当てていきます。そして、全体像から個々に目を向けさせ、今輝いているメンバー、今面白い子がいることを教えてくれます。DISC1を聞いていると、AKB48という「巨大な箱」を作り上げているのが「小さなひとりひとり」なのだと思い知らされるのでした。
 とは言え、ベスト盤のような構成なので、八方美人的な印象もあり、1枚のアルバムとしては物足りない部分もありました。でも、それは、各タイプのDISC2が補って余りある満足を与えてくれるのでした!

 

DISC2(タイプA)
1. Conveyor / 横山Team K
2. 清純フィロソフィー / 峯岸Team 4
3. へなちょこサポート / Team 8
4. 彼女 / 宮脇咲良
5. ダウンタウンホテル100号室 / 大島涼花、岡田奈々、木﨑ゆりあ、高橋朱里、田野優花、宮前杏実、武藤十夢
6. セーラーゾンビ / ミルクプラネット
7. 純情ソーダ水 / 渡辺麻友
8. 愛と悲しみの時差 / 山本彩
9. Birth / 大和田南那、川本紗矢、北川綾巴、後藤萌咲、坂口渚沙、田島芽瑠、田中美久、朝長美桜、中野郁海、西野未姫、矢吹奈子
10. 7回目の「レミゼ」 / 小嶋陽菜
11. Oh! Baby! / 高橋Team A
12. ここがロドスだ、ここで跳べ! / 東 李苑、穴井千尋、生駒里奈、入山杏奈、加藤玲奈、兒玉 遥、篠崎彩奈、渋谷凪咲、白間美瑠、谷 真理佳、福岡聖菜、二村春香、古畑奈和、村山彩希、森保まどか、矢倉楓子

 最初に両タイプ共通の説明をします。DISC2には、チームごとのオリジナル曲やユニット曲、人気メンバーのソロ曲が収録されています。数あるシングルのカップリング曲は2曲に抑えられ、12曲中10曲が新曲というぜいたくな構成です。オリジナルアルバムだと思って聞いて正解でしょう。
 AKB48の楽曲に苦手意識や先入観がある人ほど、DISC2を聞くと感触が変わるのではないでしょうか。遊び心があるサウンドが多く、音楽好きならどこかで「おっ」と心踊る瞬間があるように思います。
 そして、このアルバムを聞いて1番驚いたポイントなのですが、1枚のCDを通して大きなひとつのテーマを提示しようとしています。そのために収録曲や曲順がよく練られていて、歌詞とサウンドをじっくり聞けば聞くほど新しいことに気付かされます。奥行きがある作品になっています。
 タイプAでは、1曲目『Conveyor』では「皆の群れからはみ出せばいい」、アルバムの表題曲でもある12曲目『ここがロドスだ、ここで跳べ!』では「過去を捨てて生きてみろ」と、共通する思いを感じさせる歌詞があります。他の収録曲でもさまざまなシチュエーションの中にある「変化と決断」が歌われていて、前向きなメッセージと自分を後押しするポジティブな気持ちを聞いていると受け取ることができます。アクティブな楽曲が多く、聞くと元気になる1枚です。
 同時に、今がAKB48にとってのターニングポイントなのだと意識してしまいます。次の10年に向かって、今を守り、維持するのではなく「変化と決断」を推し進めること。それこそがグループが生き続ける唯一の方法で、それこそがAKB48であること。そんな宣誓が込められているのかもしれません。

DISC2(タイプB)
1. 僕たちのイデオロギー / 市川美織、岩田華怜、岩立沙穂、内山奈月、木本花音、久代梨奈、小嶋真子、込山榛香、佐々木優佳里、田中菜津美、平田梨奈、向井地美音、村重杏奈、本村碧唯、薮下 柊、吉田朱里
2. To goで / 倉持Team B
3. 教えてMommy / 大和田南那、川栄李奈、小嶋真子、島崎遥香、塚本まり子、渡辺麻友
4. 切ないリプライ / 指原莉乃
5. パナマ運河 / 川栄李奈、松井玲奈、峯岸みなみ、渡辺美優紀
6. 赤いピンヒールとプロフェッサー / 松井珠理奈
7. よわむしけむし / 柏木由紀
8. 涙は後回し / 峯岸Team 4
9. All of you / 高橋みなみ
10. 友達でいられるなら / 島崎遥香、横山由依
11. 今日までのメロディー
12. 生き続ける / 梅田彩佳、大場美奈、小笠原茉由、北原里英、倉持明日香、小谷里歩、佐藤すみれ、柴田阿弥、須田亜香里、高城亜樹、高柳明音、中西智代梨、藤江れいな、宮澤佐江、山内鈴蘭、山田菜々

 1曲目の曲名になっている「イデオロギー」を辞書で引いてみても、わかったようなわからないような気持ちになるばかりでした。AKB48にとって、アイドルにとって、頑張ってる女の子にとって「イデオロギー」とはどんなものなのか。タイプBのDISC2ではそれを伝えようとしているように思います。
 タイプBでは(あくまで全体の印象として)タイプAよりも手堅く実績があるメンバーが選抜されているように感じます。かわいらしい楽曲が多く、聞いているとハッピーな気持ちになります。歌詞に注目すると、『To goで』はバイト中の素敵な出会い、『教えてMommy』では母親への恋愛相談、『切ないリプライ』ではTwitterが呼び起こす夏の思い出と、どれも設定にひとひねりあって面白いです。選抜メンバーの印象と歌詞の世界が重なって、泥くさく、人間くさい気持ちに共感してしまいます。
 そんな人間くささの究極が、最後の曲『生き続ける』です。シンプルなサウンドとメッセージ性が強い歌詞。その中で歌われているのは生き残りたいと願う力の強さであり、大切な誰かに自分を伝えたい気持ちの大きさであり、その中にこそ「イデオロギー」の源があることを教えてくれます。
 タイプAに収録されている「変化と決断」の歌たち。それを動かす心のエネルギー。それが「生き残りたい」「伝えたい」気持ちなのでしょう。

 さて、ターニングポイントに入っているのはAKB48だけではありません。アイドルブームやアイドルシーン全体が大きなカーブに入ろうとしています。
 AKB48が先を行く存在だとすれば、今の彼女たちの不安や願いは、多くのアイドルの未来の姿なのかもしれません。「変化と決断」を選び、自分たちの「イデオロギー」と向き合った歌たちは、AKB48だけではなくアイドルの道しるべになるものです。同様に、アルバム『ここがロドスだ、ここで跳べ!』の2種類のDISC2には、アイドルシーンの未来を照らす灯台の役割があるように思います。
 それは、もちろん、アイドルや女の子たちだけではありません。不安を抱えていたり、壁にぶつかっている僕たちの人生にも置き換えられるものです。今日を生きる力、より良い明日に期待する気持ちをくれる作品です。



そんなこんなで、今のAKB48の面白さが伝わるアルバムです。
収録曲の個性は楽しく、通して聞いて深〜い作品ですよ。
ぜひ、聞き込んでみてください〜。


ここがロドスだ、ここで跳べ!

ここがロドスだ、ここで跳べ!

  • 東李苑、穴井千尋、生駒里奈、入山杏奈、加藤玲奈、児玉遥、篠崎彩奈、渋谷凪咲、白間美瑠、谷真理佳、福岡聖菜、二村春香、古畑奈和、村山彩希、森保まどか、矢倉楓子
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愛の存在

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赤いピンヒールとプロフェッサー

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Oh! Baby!(高橋Team A)

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