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細々とこっそりとちまちまと

アイドルソングの感想・レビュー、ライブレポ。

ヴァーチャルでリアル:超絶☆歌劇団2015 SUPER☆WORLD RETURNS 〜彼女達の冒険~ チームスクエアのこと

 2月15日、DDD青山クロスシアターでおこなわれた『超絶☆歌劇団 2015』にいってきました。1月のスパガワンマンライブを見て、チケットを予約して約1ヶ月。稽古に励むメンバーのブログやツイッターを見ながら、どんな舞台が見られるのか楽しみにしていました。
 渡邉幸愛ちゃん、鈴木友梨耶ちゃん、島崎莉乃ちゃん、渡邉ひかるちゃん、小栗かこちゃん、武田舞彩ちゃん、そしてスト生の荒川沙奈ちゃんが出演するチーム■(チームスクエア)について語っていきます。

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あらすじ

そこは勇者側と魔王側にわかれて対戦する剣と魔法の世界。学校でのいじめをきっかけに不登校になった主人公は、ネットで知り合った同い年の女の子と人気オンラインゲーム『SUPER☆WORLD』を<勇者>と<僧侶>になってはじめます。モンスターを倒してレベルを上げれば、引きこもりなわたしも強くてかっこいい勇者に。冒険は2人の友情を育て、やがて魔王と出会うのですが・・・

 と、あらすじを書いてみましたが、伝わりますでしょうか? ネタバレに気をつけないといけない系のお話なので、物語について書けることが限られてしまいます。
 言い換えれば、物語に意外性と深さがあったということです。笑って、泣けて、考えさせられるお話でした。最初、2013年の再演と聞いたときはピンと来ませんでしたが、見終わった今はこの物語が見られたことを嬉しいと思いました。それくらい、大好きで、愛おしい物語でした。

脚本と演出

 『超絶☆歌劇団 ~SUPER☆WORLD〜』は妄想ミュージカル集団・てらりすとの舞台『OVER OVER THE RAINBOW』を原案に、空想組曲主宰のほさかようさんが脚本と演出をしたものです。元の舞台のことは存じませんでしたが、トレイラー映像をYouTubeで見ることができました。ひとり芝居だったのですね。音楽や設定を生かしつつ、ミステリー&ファンタジーを得意とするほさかようさんが書き下ろした、とても贅沢なものでした。(全部帰ってから調べて知ったのですが)
 登場人物は主役級の勇者、僧侶、魔王と、脇を固める魔法使い、盗賊、踊り子、説明役のエンビーの合計7人。とてもミニマムで、ひとりひとりに役目があり、逃げ場がない演劇だと思いました。全員が自分の役を演じ、心をひとつにしなければ簡単に質が落ちてしまう、シビアでハードなバランスです。「アイドルの舞台なんだからもっと簡単でシンプルなのでよかったのでは」そういう声や気持ちを跳ね返したいという信念を、芯がある脚本と演出から感じました。
 舞台上の大きなスクリーンにはプロジェクターで映像が映し出されます。森の中やモンスターとの戦闘、回想される学校の教室。物語の展開にあわせて変わる舞台転換が楽しく、まるで編集された映画を見ているような感覚になりました。情報の圧縮の方法や場面の切り取り方が「今っぽい」と思いました。
 映像の演出と同様、照明や音の演出も細やかでした。その切れ味はプロの技で、場面が変わるたび、登場人物が舞台に出てくるたびに、なぜだか鳥肌が立ってしまうくらいでした。脚本も演出も本当に素晴らしく、その中で、7人はライブのステージとは違う顔を見せてくれました。

7人の演技

 <僧侶>武田舞彩ちゃんは、独特なコメディセンスがあると思いました。『もらとりあむタマ子』の前田敦子や、『ホタルノヒカリ』の綾瀬はるかのような、その場にいるだけで癒しと和やかな笑いを作り出していました。それは後半の展開ではギャップとして生きていました。
 <魔王>鈴木友梨耶ちゃんは、口数が少ない役で大変だったのではないかと思います。凛とした表情と立ち振る舞いで<魔王>の存在感を作り出していて、すごくハマっていて、すごく立派でした。いつか友梨耶ちゃんの正統派学園モノやラブストーリーが見てみたいです。
 <魔法使い>島崎莉乃ちゃんは、個人的に1番ツボでした。ザコボス感、小物感が身体中から出ていて、脇役だから輝く魅力を伝えてくれました。あのキャラクターをずっと見ていたいと思いました。莉乃ちゃんがプランを立てて演技していることが伝わってきて、2時間ドラマのサスペンスとかで色んな役に挑戦して欲しいです。
 <踊り子>小栗かこちゃんは、学校のシーンではスクールカースト上位のイケてる女の子の感じがよく出ていました。<魔法使い>とも<盗賊>とも違う、セクシーで大胆な<踊り子>の脇役としての役目を果たしていました。学園ドラマやホラー映画が似合いそうな雰囲気でした。
 <盗賊>渡邉ひかるちゃんは、コメディリリーフとして存在感を発揮していました。ひかるちゃんがいることで、登場人物に奥行きと幅が増していて、より個性豊かに感じられたのだと思います。最年長として座長を務め、演技初挑戦のメンバーもいる中で、チームをまとめていたことはひかるちゃん自身にもいい経験だったようです。
 <エンビー>荒川沙奈ちゃんは、相当大変だったのではないかと思います。先輩ばかりに囲まれた中で、物語の設定を説明をするセリフが多い役を、明るく、元気にやり遂げていました。どんな状況でも、沙奈ちゃんが登場すると場が和んで、優しい感じになりました。

 そして、<勇者>渡邉幸愛ちゃん。嬉しい顔、怒りの顔、哀しい顔、喜びの顔。物語の波にときに飲まれ、ときに乗り越える主人公の心を、コロコロと表情を変化させながら表現していました。大好きな表情や、見たことがない表情を見せてくれて、それは幸愛ちゃんが演技から学び、成長した感情表現そのものだったのだと思います。一方で、すごく真面目でちょっとナイーブでときどきドライな幸愛ちゃんらしさが役からも感じられて嬉しかったです。歌って踊るミュージカルは幸愛ちゃんの魅力を引き出してくれると思うので、また挑戦して欲しいと思いました。

 今年の超絶歌劇団はチームスクエアしか見ることができませんでしたが、次があるなら、全チーム見に行きたいと思いました。改めて他のチームの配役を見ると、きっと別々の<勇者>や<僧侶>、<魔法使い>の魅力があったのだと想像できます。ぜひ、来年もやって欲しいです〜!

ヴァーチャルでリアル

 『超絶☆歌劇団 ~SUPER☆WORLD〜』から「他人を知り、想像すること」について考えさせられました。最後に、そのことについて書いていきたいと思います。
 いじめの加害者と被害者。普通に考えれば、加害者が<悪>に決まっています。でも、それぞれにそれぞれの事情があって、タイミングや間の悪さで生まれてしまった<悪>もあるのかもしれません。本人は<悪>であろうと思っていないのかもしれません。
 掛け違えたボタン、食い違った事情を元に戻すのはそう簡単ではなく、放っておくと深まる溝を埋めるためには「他人を知ること」が必要だと、この物語は教えてくれます。今回、その場所としてオンラインゲーム『SUPER☆WORLD』がありました。現実とは違う次元の不思議な世界で、少女たちは現実と同じようにぶつかり合います。虚構と現実、嘘と本当の境界が曖昧になり、そんな中で本当に大切なものが何なのかを提示します。
 世の中はヴァーチャルでリアルなものばかりです。見えない心を信じたくて、目の前にある顔を信じられないときもあります。そのとき過去ではなく未来を見つめて「想像」し、選び取った「今」こそが仮想も現実も超えた「確かなもの」なのでしょう。


 

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