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細々とこっそりとちまちまと

アイドルソングの感想・レビュー、ライブレポ。

秋元康の作詞感覚とAKB48楽曲の魅力:6/13ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル感想

 6月13日、愛聴しているライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフルに秋元康先生が生出演! 放送では貴重な話をたくさん聞くことができて、番組のファンとして、AKB48グループ好きとして大満足な内容でした。



 放送の中で秋元先生も言っていましたが、ご自身の作詞手法や作品のポイントを「説明」するのはある意味とても野暮な行為です。お笑い芸人が自分のコントの笑える理由を説明するようなものですから。だからこそ、聞きたいけど聞けないエピソード満載で、なぜ秋元先生が第一線を張り続けているのかその理由の一端を知ることができました。この記事では、個人的に面白いと思った部分を抜き出して、考えてみたいと思います。

アルバイト感覚

 当たり前の話として、医者や弁護士と作詞家は違います。作詞家に必要な資格はないからです。そして、作詞家として誰かに師事していたわけではない自分のことを「アルバイト感覚」と話す秋元先生の言葉のチョイスが面白いと思いました。地に足が付いていなくて、根っこがない感じがする言葉で、僕が秋元先生の歌詞に惹かれるのはそういうところです。

お饅頭じゃない

 作詞家としての秋元先生を考えるとき、最初に思うことはその多作さです。5,000曲近い歌詞があって現在も年間100曲以上増えているので、どうしても「量産」と呼びたくなってしまいますよね。でも、そうではないのです。1曲1曲に心が、魂が込められていて、そのとき秋元先生が面白いと思っていることや気になっていることが歌詞になっているのです。

必ずAメロから

 秋元先生の歌詞の特徴としてシチュエーションの細かさがあると僕は考えていました。曲の展開に合わせて、状況描写や心理描写が「映画のように」歌詞に載せられていて、不可逆な時間の流れを感じさせてくれます。そんな歌詞が必ずAメロから書かれていると聞くと、やっぱりそうですよね。歌詞を書く順番という超具体的な作詞法が聞けて良かったです。

放送作家出身の僕

 現在企画中の『マジすか学園5』について「ファンの人の気持ちとは違うかも知れないけど」と話す秋元先生。歌詞を書くときにも世相を反映させたりして「売れること」をそれほど重視はしていないそうです。秋元先生が大切にしているのは「面白いかどうか」で、企画性もプロデュース方針もそのための手段に過ぎないのだと知りました。そんな情熱の原動力は「誰かわかってくれる人がいれば嬉しい」というささやかなもので、だからこそ、AKB48グループは歌詞を読めば読むほど「面白さ」を感じられる、個性ある楽曲ばかりなのだと思います。

大衆の言葉と音楽

 放送の中で、最も面白いと思ったのは「街鳴り」という言葉です。スーパーで、コンビニで、携帯ショップで、パチンコ屋で。僕らの日常の中で音楽がどんな風に鳴っているのかを大事に思っていると秋元先生は語ります。きっと想像もできない年収の秋元先生。それでも、その作家性の本質は「街鳴り」にあって、その魅力は「大衆性」なのです。AKB48グループの楽曲はダサいと言われます。先進的で貪欲なアイドルソングが多い中で、音楽性においてAKB48グループの楽曲はそうではないですから。それは大衆に受け入れられる音楽を作りたいという気持ちの副作用なのかもしれません。ダサくて、先進的じゃなくて、恬淡な僕らの日常に馴染む音楽。それがAKB48グループの楽曲であり、秋元先生の歌詞の本当の楽しみ方なのだと思いました。


 やはり今回のウィークエンドシャッフルでの秋元先生の生出演も、彼の人間性を感じられる放送でした。作り手の顔が見えるようになって、これからもっとAKB48グループの楽曲をより身近に、深く感じられるようになるようになった気がします。大好きな歌詞やそうでもない歌詞、秋元先生の血が通った作品をこのブログでもっと語っていきたいと思いました。


別冊カドカワ 総力特集 秋元康  カドカワムック  62483?77 (カドカワムック 374)

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