細々とこっそりとちまちまと

アイドルソングの感想・レビュー、ライブレポ。

【コラム】夢のまねきねこ

f:id:chima4dn:20150626205601j:plain*1

 アイドルとカラオケをした話。去年の夏、カラオケボックスの新規開店イベントに行きました。イベントは朝10時の開店にあわせてお出迎え、決められた時間の「フードデリバリーサービス」と「一緒に歌おうサービス」、そして17時からミニライブと特典会という流れでした。
 注文したフードを持ってきてくれたり、一緒にカラオケができたりと接触厨でなくても神と言わざるを得ないイベントです。考えてみてくださいよ。普通にカラオケ行ってちょっと店員が可愛かっただけでテンション上がるじゃないですか。しかも調子こいて「え〜、一緒に歌おうよ〜」と絡む的なリスクを犯さなくてもカラオケできるという。しかも本物のアイドルと。
 しかし、7時間以上という拘束時間は気になるところです。知らないヲタクと同室を強いられるとすれば、人見知りかつ顔見知り以外敵視のスタンスとしてこんなに険しいことはありません。危機感を覚えたヲタク同士で連絡を取り合い、埼玉の厄介認知中、名古屋のガチロリコン、台場のクソイベ回す渋谷区民、函館のコミュ障ブロガー(僕)他、まとまった人数が結集したのでした。顔見知りでこの神イベントを乗り切るチケットを手に入れ、好き放題してしまうことになります。
 ヲタクの朝は早い。普通なら足を踏み入れない埼玉県某所のカラオケボックスに、時間厳守で集まります。お出迎えでアイドルに「あっあっ、お、おはようございます・・・」とキチンと挨拶し、いよいよ入室。持参したアイドルのポスターで部屋を飾り付ける、「フードデリバリーサービス」のときにカキ氷の早食いをしようとして普通に心配されて二重の意味で寒い思いをする、出たがりな埼玉の認知中がDorothy Little Happpyの名バラード『STARTING OVER』を連続で入れて辟易するなどのイベントが続き、いよいよやってきた「一緒に歌おうサービス」の時間。このときのためにこのイベントはあったのです。
 何と言っても、アイドルとカラオケができるのです。アイドルの持ち曲を自分たちだけのために歌ってもらったり、一緒に盛り上がる歌を入れて楽しむことができる特別な時間が約束されています。普通なら。しかし、僕たちは違います。普通では足りないのです。他のヲタクと圧倒的な差をつけること。それ以外はアウトオブ眼中なのでした(死語)。
 「逆に、俺らの歌を聞いてもらったら面白くね?」誰かの思い付きに乗っかって僕たちは計画を練りました。選曲はもちろん、アイドルがやってきてからの会話のシミュレーション、各自の段取りと役割分担。食い散らかしたお菓子やおつまみ、酎ハイと発泡酒の缶も片付けないといけません。あっという間に時間は過ぎて、そのときとなりました。マネージャーに連れられて入室するアイドル。「今日は俺たちの単独ライブに来てくれてありがとう」そう話しながらアイドルを座らせ、ペンライトを持たせる僕ら。「それでは聞いてください。『デモサヨナラ』」流れるミュージックと全力で歌うヲタク。異常な状況の中で、ヲタクの「好きよ」に「オレモー!」と応えてくれたアイドルたち。彼女たちは本当の天使で「一生推し続けよう」と涙を流しながら決めた瞬間でした。特別な時間は一瞬で、同時に永遠です。もし、人生の走馬灯を見ることがあるとすれば、あの数分間の出来事はハイライトとして Bメロあたりで流れるに違いないでしょう。かけがえのないときは終わり、達成感と幸福感でカラオケイベントは終わりました。
 アイドルとカラオケ。それを夢のようだと思う人もいるかもしれません。でも、あの日の僕たちは夢を超えた幸せを感じていました。想像以上のことがあるのがアイドル現場で、次の「夢を超えた夢」を感じたいという思いは完全に麻薬、ジャンキーである僕たちにとってヲタ卒こそが本当の夢のまた夢なのかもしれません。醒めない夢の中にいるアイドルヲタクは次の「想像以上」を求めて、今日も元気です。


日経エンタテインメント!アイドルSpecial2015夏(日経BPムック) (日経BPムック)

日経エンタテインメント!アイドルSpecial2015夏(日経BPムック) (日経BPムック)

サイプレス上野とロベルト吉野のアイドル ライヴオン ダイレクト

サイプレス上野とロベルト吉野のアイドル ライヴオン ダイレクト

*1:フリー写真素材ぱくたそ https://www.pakutaso.com/