読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

細々とこっそりとちまちまと

アイドルソングの感想・レビュー、ライブレポ。

『尾崎支配人が泣いた夜 DOCUMENTARY of HKT48』感想

 本当に素晴らしい作品でしたが、最初にこの映画最大の魅力をこの記事では伝えられないことを書かねばなりません。
 シークエンスごとの繋がりを意識した丁寧な編集、それを支える素材の豊富さとインタビュー力、1つ1つのカットに詰め込まれた情報量とスペシャル感。映画としての魅力にあふれた作品であることは「百聞に一見をしかず」です。・・・要は何を話してもネタバレになるという話。
 とは言え、語りたくて仕方がないという作品の魅力。できればHKT48無関心層にこそ見て欲しい、感じて欲しいと僕は思っています。

 ひとりでも多くの人が見に行きたくなるような、1回見た人がもう1回見たくなるような、そんな記事が書けますように。

f:id:chima4dn:20160131213450j:plain

We are HKT48

 『DOCUMENTARY of HKT48』が他のアイドルドキュメンタリー映画と大きく違うのは、ファンの存在にフィーチャーしているところです。冒頭からクライマックスまで、随所でアイドルとファンの関係性が描かれます。極端な話、アイドル映画史上オタクが最速で画面に登場する映画として後世に名を残すのではないでしょうか。
 48グループに限らず、現在のアイドルとファンの関係は独特なものです。家族のように距離が近く、恋人のように繋がりは強く、一方で、他の何にも例えようがない結び付きを持っています。アイドルがいるからファンが集まる。ファンがいるからアイドルが輝く。当たり前のようなこの関係性、実は特別でユニークなものです。
 ところが、過去のAKBドキュメンタリー、アイドルを扱うドラマやアニメなどの創作作品で描かれたことはほとんどありませんでした。アイドル自身の夢や自己実現、仲間との関係性と絆がテーマとなっていました。それが悪いとか嫌だと言いたいのではもちろんありません。ただ、もったいないなあと思っていたのです。
 そんな中、ファンとの関係性を主軸に置いた作品があったではないですか。しかも最近。それは『WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENT』です。Perfume3回目のワールドツアーに密着し、彼女たちがどのように、何を工夫して、どんな思いでステージに立っているのかを伝えてくれる作品です。見た人ならわかると思いますがこの映画、とてつもなく泣けます。僕は泣きすぎて頭が痛くなってしばらく立てませんでした。
 なぜ『WE ARE Perfume』は泣けるのでしょう。それはPerfumeがファンに対して持っている思いが伝わるからです。Perfumeの行動、言動すべてがファンに向かっていることをまざまざと見せつけられ、Perfumeを好きでいる自分やPerfumeと過ごした時間を肯定してくれるのです。
 思えば、『WE ARE Perfume』も『DOCUMENTARY of HKT48』も積極的にファンにカメラを向けています。アイドルとファンの関係性を描くとき、ファンと向き合うことは不可欠なのだと思います。当然のようにファンの気持ちもスクリーンに映り、一方通行では終わらない願いが響きます。

シンデレラのジレンマ

 ファンがアイドルに望むことは実際複雑でひとくくりにできるようなものではありません。映画では「選抜入りして欲しい」というファンの期待が描かれています。
 HKT48(48グループ)の「選抜」は部活のレギュラーみたいな仕組みです。年に数回リリースされるCDの表題曲を歌うメンバーを選び、選ばれたメンバーはCDに関わる仕事をすることができます。説明文としては本当にこれだけなのですが、その中で様々なドラマが生まれます。
 改めて言うまでもなく、メジャーレコード会社の新曲選抜は関わる人も注目する人も多く、部活とは違います。多くの要素が絡み合って決められ、選抜入りできるかどうかは天からの声に近いものです。
 それぞれに惚れ込んだアイドルがいます。やがて好きな理由、好きなところは違っても同じアイドルが好きな人が増え仲間ができます。アイドルはファンが増えたことを喜び努力し、ファン同士のコミュニティーは大きくなり、一層強い結び付きを得て、さらに高い場所を目指していきます。「村のマドンナ」から「プリンセス」になって欲しい僕たちは、自分たちにできる応援を尽くして選ばれるその日を待ちます。期待するものはまるでシンデレラストーリー。
 でも、村人の声でプリンセスは決まりません。ファンの声がどんなに大きくても、どれほど熱くても、それだけではシンデレラにはなれないのです。選ぶ側の事情や基準、その中にいくらか入ってるのでしょうが、あちら側にはあちら側のロジックがある。応援する人と選ぶ人、その狭間にいるアイドルにしかわからないジレンマがあるのだと僕は思います。

尾崎支配人の涙の理由

 『DOCUMENTARY of HKT48』1番の見所がどこかと言えば、サブタイトルの通り、尾崎支配人の泣くシーンでしょう。彼がどうして、どんな思いで泣いてしまったのか。映画で見て感じて欲しいです。
 そして、選抜会議に初めて潜入したカメラ。ピリピリした会議の雰囲気と内容がスリリングでとてつもなく面白いシーンです。そのシーンではHKT48の選抜メンバーがどんな事情や基準で選ばれるのかを見ることができます。画期的なことでしょう。
 ファンにとってのアイドルと運営にとってのアイドル、それはコインの裏表です。運営にとって女の子は商品で、様々なイベントや活動は戦術で、リリースされるCDは戦略であること。そんな「事業としてのアイドル」を大きなスクリーンで見ることはショックで「リアルすぎ」ました。
 でも、ファンと運営の立場が本質的に違うからこそ、もしも実は両者が同じ思いを抱いていると知ることができたなら、とても素敵なことだと思いませんか。尾崎支配人が流した涙。それは僕たちに近く、共感せざるを得ない涙です。大人の事情もわかるからこそ、ファンと運営の違いを感じたからこそ、アイドルが好きで幸せを願っているからこそ、尾崎支配人そして支配人・監督の指原莉乃さんと自分の気持ちを重ねてしまうのです。


 映画はひとりの少女の夢の実現と共に、これ以上ないくらい前向きで幸せに終わります。エンドロール・主題歌まで残さず味わい尽くせる隙の無さ、何より愛情の深さに涙と鳥肌が止まりませんでした。誰もが気持ちは彼女と同じ。みんな努力していて、あきらめていなくて、何より仲が良い。僕はHKT48を改めて大好きになりました。
 ぜひ、ひとりでも多くの人がこの映画を見て、HKT48を大好きになってくれると良いと心から思います。そして、できることならメンバー全員が夢を実現して幸せでありますように。


しぇからしか! (TYPE-A)

しぇからしか! (TYPE-A)

マジすか学園0 木更津乱闘編 [Blu-ray]

マジすか学園0 木更津乱闘編 [Blu-ray]